LOOKBOOK 2026 SS

森の中にいるときは、
そこが森だとは気づかない。
森を出て初めて、
自分が森の中にいたことに気づく。
断片的に抜き取ってみて、
初めてその全体が
浮かび上がってくることがある。
僕は雪国に住んでいる。
雪国は、雪が溶けたときに初めて、
雪というものが浮かび上がってくる気がする。
僕は気づく。
自分の描いた絵の色彩が、
描いてるときには気づかなかった
雪国の断片そのものであることを。

森の中にいて、
空を見上げると
まるで木の枝を境に
空が切り取られていくような感覚がある
ただ開けているだけが空ではない
また、ただ鬱蒼としているだけが森ではない
それらは溶け合い
絡み合い
一つの風景になるのだと思う

自分の絵の中に雪国の
気配のようなものがあることに気づく。
それはいつも描いた後に気づく。
描く前にも描いている時にも
描き終わってすぐの時も、気づきはしない。
自分はただ、自分をそこに描いたような気になっている。
しばらくして、自分の絵をひとつの風景のように
見れるようになった時、そこに雪国が見えてくる。
いくら派手な色を使っていようとも、
その絵の中に流れている脈のようなものは
雪国の呼吸をしている。
雪国が雪の季節だけ雪国ではないように、
自分の絵の中にもどこか雪国の気配がある。